田中です。東京の区役所に勤めて30年以上。毎年まとまった有給を取るのが唯一の楽しみでして、今年はずっと行きたかった熊本をじっくり攻めてきましたよ。しかも10日間という、われながら思い切った日程で。
熊本を旅するなら、車は絶対に必要だと思っていました。阿蘇の広大なカルデラを走りたい、小国の温泉地をのんびり巡りたい、天草の海沿いの道を走りたい。そういう旅は、電車やバスでは正直限界があります。で、福岡空港でレンタカーを借りようと決めて、最初は何も考えずにトヨタとかニッポンレンタカーとか、有名どころのサイトを見てみたんです。
……10日間で8万円台、9万円台。
いやいや、ちょっと待ってほしい。年金もまだもらえない57歳の公務員にとって、これはけっこうキツい出費です。宿代や食事代、温泉の入湯料だってかかるのに、レンタカーだけでそんなに飛んでいったら旅全体が苦しくなる。そこで改めて「福岡空港 レンタカー 格安」でGoogle検索しました。
検索結果をひとつひとつ見ていくと、「業務レンタカー福岡空港店」というサービスが目に入りました。料金を見た瞬間、思わず「えっ」と声が出ました。大手と比べて、明らかに安い。同じような車種・同じような期間で、これだけ差が出るのかと。10日間という長期レンタルだと、その差がさらに大きく開くんですね。
最初は「安いなりの理由があるのかな」と少し慎重になりました。でも調べてみると、福岡空港から近くてアクセスも問題なし。長期レンタルを得意としているサービスということもわかって、これは自分の旅にぴったりだと判断しました。予約を入れて、いよいよ出発です。
福岡空港に降り立ち、業務レンタカーで車を受け取ったあと、まず向かったのは阿蘇。大観峰に着いたとき、言葉を失いました。カルデラを見渡す360度のパノラマ。東京の窓口業務で積み重なった肩こりが、風と一緒に飛んでいくような感覚がありましたね。大げさではなく、本当に。
草千里ヶ浜では、馬がのんびり草を食んでいて、時間の流れ方がまったく違う。阿蘇神社にも立ち寄りました。熊本地震の被害を受けながらも復興が進む様子を目の当たりにして、なんとも言えない気持ちになりました。車があるから、観光バスの時間を気にしなくていい。気に入った場所でいつまでも止まっていられる。この自由さが、一人旅のレンタカーの醍醐味です。
阿蘇から北に向かうと、小国町です。ここが今回の旅でいちばん「長く居たい」と思った場所でした。杖立温泉、わいた温泉郷、黒川温泉。泉質の違う湯を日替わりで楽しみながら、宿でぼーっとするだけの時間がこんなに贅沢だとは思っていませんでした。
57歳になると、あちこちガタが来ているわけですよ。膝とか腰とか。温泉に浸かっていると、それが嘘みたいにほぐれていく。毎日仕事で酷使してきた体を、この旅でようやく労ってやれた気がしました。小国の豆腐料理や地鶏を食べながら、地元の方と少し話したりして。こういう旅は、一人だからこそできる。誰かに合わせなくていい分、自分のペースで地元の空気に溶け込める。
小国を後にして、南下して天草へ。天草は想像以上でした。イルカウォッチングは、船に乗り込んでしばらくすると野生のミナミバンドウイルカの群れが現れて、正直、感動で鼻の奥がツンとしました。57歳の男が、ですよ。天草四郎ゆかりの崎津集落や大江天主堂も印象深かった。日本とは思えない風景の中に、長い歴史の重みがある。海沿いの道を車でゆっくり走るだけで、それだけで絵になる景色が続く。
最終日は天草から福岡空港へ戻る長距離ドライブ。でも不思議と疲れていなくて、むしろ「もう少し走っていたい」という気持ちでした。10日間、毎日この車と一緒だったんだなあと、返却するときに少しだけ名残惜しい気持ちになりましたよ。
今回の旅で改めて感じたのは、移動費を賢く抑えることで、旅全体の質が上がるということです。業務レンタカーを選んだことで、大手との差額分を温泉の入湯料や食事に回すことができました。黒川温泉の少し奮発した宿も、天草で食べた新鮮な魚介も、あの差額があったからこそです。
10日間という長旅だからこそ、レンタカー代の差が大きく効いてくる。短期なら大差ないかもしれませんが、長期になればなるほど、格安レンタカーを選ぶ意味は増していきます。来年は長崎か、それとも宮崎か。もう次の旅のことを考えながら、今日も窓口業務をこなしています。福岡空港を使うなら、またあそこで借りよう、とすでに決めています。